埋め合わせ(カーボンニュートラル)とは

埋め合わせ」とは、 損失などを他の物事で補う ことで、約束を守れなかったときには「相手に与えた損失を補う」という意味に使われています。

脱炭素社会での「埋め合わせ」は、「人々が社会活動で発生させたCO2の量」を、「植物が生存のために吸っているCO2の量」で埋め合わせすることが主体になっています。

植物は、吸ったCO2太陽光線とで光合成し、有機物に変えて成長しています。

そして、吸ったCO2の量は、切り取られたとき植物の中に固定されているとされ、埋め合わせのCO2量に換算されています。

しかし、実際に換算されているのは、量の算定が可能な樹木などで、算定が困難なもの、例えば、剪定屑雑草水草農業廃棄物食品廃棄物など、人々の身の回りで切り取られた植物が持っているCO2の量は埋め合わせの対象になっているのでしょうか?

また、その植物が燃された時は、もともと大気中にあったCO2を大気中に返すのだから、カーボンニュートラルで、埋め合わせの対象外になります。

と云うことは、樹木などを出来るだけ燃さないで利用する仕方が求められます。

燃して何かを得る事業の場合、その事業をする範囲でカーボンニュートラルになっているだけで、CO2の減少の役割は果たせないことになります

算定されていない人々の身の回りにある可燃物として処理されているものはどの程度あるのでしょうか?

埋め合わせに利用することは出来ないのでしょうか?

もし出来るのであれば、量は少なくても人々夫々が努力すれば、多量の埋め合わせが出来ますがー

人々が自らの生活を守るためですから、是非研究すべきと考えます。

光合成と呼吸

光合成とは、植物が太陽の光を利用して二酸化炭素CO2から有機物を合成する生化学反応です。

光合成の最終産物はショ糖C12H22O11)で、植物体内に送られ新たに体を作る材料として利用されています。


呼吸とは、植物や動物が酸素を利用して生命の維持と成長に必要なエネルギーを取り出し、二酸化炭素と水を放出する反応です。

森林では、呼吸作用や土壌中の微生物の有機物分解でCO2を放出しますが、吸収量に比べ放出量は微小であるため算定から除外されています。

動植物の呼吸作用は、元々光合成で出来た食物を食べているからカーボンニュートラルとされています。

温室効果ガス

温室効果ガスは、赤外線を吸収し、再び排出する性質を持つ気体のことで、二酸化炭素(CO2)メタン(CH4)一酸化二窒素(N2O)ハロカーボン類などがあります。

これらは地球を取り巻く大気中にあり、太陽の光で暖められた赤外線を宇宙に逃がさない役割をしています。

もし無かったら地表は氷点下19℃となる大切なガスですが、近年温室効果ガスが増加しすぎて温暖化し、気候非常事態宣言が発せられるようになったのが、現在の地球です。

温室効果ガスの中で地球に一番大きい温室効果の影響を及ぼしているガスは二酸化炭素CO2です。

二酸化炭素CO2は、人間社会が発展する過程で多量に排出したものですから、人間社会の在り方を改善し、大気中のCO2の量を減少させ適切な量に管理して、災害の少ない気候が持続可能になることが望まれています。

炭素吸収量と蓄積量

樹木による炭素吸収量の目安は、森林1ha当たり1000本の立木があるとして、森林1ha当たり年間にスギ1~3炭素トン/ha広葉樹1炭素トン/ha 前後と推定されています。

また、炭素蓄積量は、31~35年間生きてきたスギ70kg/1本36~40年間生きてきたスギ82kg/1本程度で、年間に吸収する炭素量は立木1本につき2,4kg/1本年、と推定されています。

排出量実質ゼロ

温暖化の影響などで豪雨や火災などの災害が相次ぎ、もはや気候変動の枠を超え気候危機の状況に立ち至り、気候非常事態宣言が発せられ、脱炭素社会の実現に向け「経済社会の再設計を抜本的に強化し国を挙げて実践していく」と、2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標が掲げられました。しかし、果たして実質ゼロで足りるのか不安です。

現在災害が発生している状態をどのように沈めるのでしょうか?

実質ゼロとは「樹木などの吸収量」と「人類が経済活動などで出した排出量」が差し引きゼロであることです。

例えば、伐採した樹木の吸引量は樹木の種類や大きさなど成長度が異なりますが、樹木の現物を一本一本具体的に調べることは出来ないから伐採されたときその樹木の中に計算上の値が閉じ込められるとされ、樹木を燃した場合、大気から吸ったCO2を排出し元に返すだけだからプラスマイナス実質ゼロ(カーボンニュートラル)となるとされています。

また、バイオマス発電で木材チップを原料としている場合など、カーボンニュートラルと云われていますが、伐採切り出し木材チップペレットへの加工運搬、不足すると海外輸入、などカーボンニュートラル以外のエネルギーの使用に基づくCO2排出山林の荒廃など、多くの問題を含んでいることに不安があります

その上、今後計画されていることは、風力発電太陽光発電水素自動車CO2回収、など大掛かりで収益活動を主目的とした開発が主体となり、完成までの過程CO2の排出を増加させる可能性はないのでしょうか?

温暖化ガス排出量を実質ゼロにする生産活動に付随するCO2の排出量を埋め合わせるために、ますます状況を悪化することにならないのでしょうか?

不安がつのるばかりです。

そこで、大規模な産業活動だけでなく、私たちが個人的にも、身近な周辺にある有機物が保有する地域炭素(仮称)を大切に考え、燃さないで固定することを試みて、埋め合わせの量を少しでも増加し、地球の住み良い環境を守る考えが必要と思います。

炭素固定

脱炭素社会の到来を待っていたかのような炭化炉があります。
25年前に島根県で創業され、炭化炉一筋、日本古来の炭づくりの技術からは想像できない新しい炭化技術の発明で粉炭製造されている会社が、島根県益田市にあります。

その会社は有限会社山本粉炭工業です。
https://www.ypcpjapan.com/

有限会社 山本粉炭工業のプール式炭化平炉

この技術を使って、樹木やその他の有機物などを炭化すれば、希望が叶うかもしれません。

炭化炉の特徴

①多様なバイオマスを炭にできる
不特定形状のバイオマス(枝打ち材、樹皮、木くず、抜根・・)竹、雑草、藻、水草、農業廃棄物、食品廃棄物、等

   「山本粉炭工業での粉炭製造」はこちら

②動力エネルギーが少ない
作業用ショベル、散水ポンプ、回転スクリーンで、大きな電力不要

③大量生産が可能
1基1ロットで約10トン/1週間から10日間 2~4基を接続して運転可

④用途が多様で実績が豊富
炭素固定の用途土壌改良材家畜や養殖用飼料建築用調湿材水質改良炭
カーボンニュートラルの用途食品添加粉炭ストーブボイラー燃料

⑤作業が省力化できている
開放的なプール型構造で、原料の投入、製品の搬出をショベルローダで作業可

樹木の炭素固定では、樹木を燃さないことが第一で、世界的に高まっている木造建築、中でも木造大規模中層マンションの普及が期待されています。

その原材料である木材の供給を支える森の管理や、必要材料を採った後の端材の処理や、地域のごみ焼却に持ち込めれる有機物の処理状況、等の調査を行い、炭化作業による炭素の固定について研究する必要があると考えます。

伝統的な炭化炉では考えつかなかったことが、現在は山仙プール式炭化炉の出現で可能になりました。